11

ごっこ遊びを見せつける
枯れた噴水にうつるひと
甘い痺れが期待はずれで
深いしじまに嗚咽が響く
リセットしよう星も水も
さよならは本当になった
春の嵐とわたしだけの犬
せいひつを杯に満たして
じゃくめつをこじ開ける
黙黙と視線床に落ちてく
論理でもいい己れの閑静
眠れ、残り香を運ぶから
怪物は眠るあなたの毒で
似てるあなたと寄添う闇
死んでも素直に笑わない
知らぬ朗々彼方のあなた
夜明け前に消えなくては
メタモルフォスの在りか
まぶたに透ける青と永遠
無神経に悲しくなるなよ
ヨアケインザウォーター
炭の庭ファキュラの雀斑
メシア 羽翼の悲しみを
私はここに座っています
特別な黙字をきみに捧ぐ
透視の先に己の背を診る
ヒドロビウスの囚人たち
最西の牢には海星が降る
キルカスの岬、壊の音色
ため息ためて風船つくろ
壊れるわたしガラス張り
ユリの棺を彫刻しようか
死の国にも居場所がない
連綿と未来を絶ちきって
小汚い風景への納まり方
天の川で拾った最たる星
哀を重ねてヘドロになる
隠れるより見つかりたい
照り返しトライアングル
のぼる陽は紫糸を垂らす
土星の輪と受難は薬指に
泳いで虹のはじまりまで
火石のくずを蒔きながら
月の影は宿まで伸びるか
窓は白く塗りつぶされた
空の水かき、湖のひづめ
奪うことも覚えずひとり
新しい春を掘り起こして
空っぽだから綺麗だった
浮かべた罪が流れていく
錯感覚は幸福の道を示す
羊の牙を尖らせましょう
仕向け方にもコツがある
世界を永遠にするために
知と不可視にほだされて
半月とラベンダーブルー
痛みを愛だと知っている
未来を認める私でいたい
谷あいに恋が咲き狂った
金のうばらが眠っている
そのくすぶりで土を踏め


12

シンパシー・シンドローム
待ち切れない不幸をいのる
投げ捨てられた夜の下敷き
重荷を抱いたままのさなぎ
退屈だから真摯になれない
薄氷の上で誓いのダンスを
なんと陳腐な、愛憎劇よ。
かの幸福を知るよしもなく
夜のしづかを荷造りしよう
砕けたレンズと粉雪が降る
豊かさを喜ぶ温もりの不吉
裁きを受けるは本当の私か
確かめたくなる血潮の透明
ラヴァーズブリッジの崩壊
謝肉祭踏み躙られた紙吹雪
初まりの名を知られぬよう
水に似た陰謀を掻き分ける
あなたの残骸を庭に埋める
不安が僕を通り魔するんだ
その約束だけが命綱なのだ
闇夜が照らすひとの在り方
トリヱヴテオイと図面引き
ジーン・リッチ・トキシン
粉々でいれば星みたいかな
三番目の私が腕を伸ばした
すな埃で傷がつくくらいの
見えない縄でがんじがらめ
矛盾にさえ恋焦がれている
消耗品として生き残るには
夜明けの魔術がやってくる
こっそり君に混じりたいな
ようこそここは本懐のくに
悲しくなってて馬鹿だなぁ
シェリーズ・アンチドーテ
やさしさの樹でつくられた
花をむしってやった(全部)
思考はない 闇があるだけ
質量のないことばや、手癖
いのちの終わりが育ってる
神の国のみはらしはいかが
私だけが邪魔な色をしてる
海風が今日も、奪っていく
未開惑星のボーイスカウト
日なたでうそぶいてみせた
そんな意地悪 内臓こげる
心と射る矢とシンメトリア
かなしいお願いごとばかり


13

詛いのことば口当たりが悪い
スプーンのまるみに残るもの
明日には消滅しているのかな
スチール・ブルー・エスエス
腐った君の水全部飲み干すよ
すばらしき朝 壊れてしまえ
割いては流すハトロンの理想
きみの指はプールの味がした
期待を手折って花束にしよう
ナイトランプを叩き割ってこ
泣くくらいならたち現れるな
いだくにも、力加減は難しい
幽幽と浮かぶ 水面は優しい
今頃、嘘が知られただろうか
なびく尾、彗星の波うちぎは
ハッピースフルポリアモリー
待ち人、死の対岸にて現れり
匂い付きアイソレーション屑
スペースデブリ、光くしゃみ
桃色の鬣と一角をふりかざす
日が昇るうちはそ知らぬふり
境界線を引いたのはどっちだ
や、ま、い、が聴き取れない
讃美歌に色づいたスーベニア
愛されたらどうすればいい?
溺れようにもお前は浅すぎる
明日も道はあるのでしょうか
獣の向こうにくすぶってゐる
だから今日も笛を温めている
ただれた・セイラー・レディ
オーディオ・オーディエンス
指さし確認・今日も生きてた
分け与えることも知らぬまま
また逢う日までと桜は散った
これが不義なら何を恋と呼ぶ
嘆けばしおれる花弁のように
醒めるとそこには夢があった
ぴかぴかに光る君を待ってる
明日のためにゆりかごを編む
晩生の花なら綺麗でしょうか
すべてをまあるく呼ぶのなら
めそめそするには明るい月だ


14

イエローナイフ・フィフティー
リモンチェッロが灰白に痕付く
ギヨームの紡ぐ詩、戴冠の女神
できそこないの幽霊としてある
おおきくて柔らかい虚空に沈む
とどめたいなら名前を呼んでよ
貴方の手元がわたしを無視する
万知のリピカがきみを見据える
塗られたのが泥でまだマシ的な
祝杯に混ぜるおくすりはないの
人族館のレセプションパーティ
欲情の上塗りにはもってこいだ
まずは君から歌ってくれないか
おひげを書き足してあげようね
テエルラムプの奇跡だけ残して
ヴァージニア・ミル・フルール
いつまでも地球儀を回していた
いまいる「ここ」のあらわし方
指を増やすには泥がいいんだよ
本当のふたりきりがここにある
氷と一緒にぐちゃぐちゃ溶ける
はにかみ屋さんのエールコール
感傷なんてやさしい言葉はない
実情はつめたく二度寝がしたい
ぜんぶの宝物をくれるのだから
うなだれた背骨を見せておくれ

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